アメリカ合衆国 ケンタッキー州

世界遺産

ケンタッキー州は、アメリカがイギリスから独立した時は、バージニア州ケンタッキー郡でした。1792年にバージニアから独立して一つの州となります。ケンタッキーフライドチキンでおなじみですが、他にもバーボン・ウイスキーの発祥地であったり、競馬・競争馬の産地、ブルーグラス・ミュージックの聖地、全米有数の石炭生産地としても有名です。エイブラハム・リンカーン、モハメド・アリ、ブルーグラス音楽の祖ビル・モンロー、カーネル・サンダースなどがケンタッキー州出身です。

夏は湿度が高く平均気温は31度、冬は雪も降りやや寒くなり最低気温はマイナス5度になりますが、春と秋はアウトドアに最適です。

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ケンタッキー州には、紀元前1000年から紀元後1650年頃までアメリカ先住民族(インディアン)が住んでいましたが、1770年頃にヨーロッパから探検家や開拓者がやって来たころには、インディアンたちの居住地としては使われておらず、アメリカバイソンが住んでいて、北のショーニー族や南のチェロキー族の猟場として使われていました。そこへ多くの開拓者たちが入ってきたものですから、アメリカ先住民族(インディアン)は自分たちの狩場を奪いにきたものと認識し、1500人の開拓者を殺害したと記録にあります。1786年、ジョージ・ロジャース・クラークが1200人の兵士と共に反撃を開始し、北西インディアン戦争が始まったとされています。

19世紀になると、ケンタッキー州は奴隷制度の中心地として栄えます。過剰になった奴隷を深南部に売るようになり、ルイビル市は奴隷市場の中心地となり、川を下って運ばれる奴隷の出発港として栄えました。南北戦争時代は、ちょうど南北の境界上に位置するケンタッキー州は中立を貫きました。

アメリカ合衆国ケンタッキー州 世界自然遺産 マンモス・ケーブ国立公園

ケンタッキー州の中央部に位置するマンモス・ケーブ国立公園内には、地下に世界最長の洞窟(マンモス・ケーブ・システム)があります。その他にも敷地内を縦横に流れるグリーン川とノーリン川、豊かな原野や湖や森林地帯、教会や墓地など見どころはたくさんあります。洞窟探検、トレッキング、カヌーやカヤックでの川下りや乗馬や天体観測なども楽しめます。

鍾乳洞イメージ写真 著作者:benzoix/出典:Freepik

洞窟(マンモス・ケーブ・システム)の現時点の長さは591マイル(約951キロメートル)ですが、今尚調査進行中でその長さは毎年数マイルずつ伸びていて今後も延長される可能性が高いです。地下300フィートほどの深さまで小道や大小さまざまな部屋のような洞窟を観ながら進みます。洞窟探検参加には事前予約をしておいた方が参加確実です。鍾乳洞までは行かない範囲の洞窟内を探検する時短コースや幼い子供連れでも大丈夫なファミリーコースや、つなぎ服に着替え狭い道を匍匐前進しながら進む本格的な洞窟探検を楽しめるコースまであります。

地上から183フィート(55,8メートル)下には、TB Hutsが今も2棟ほど残されています。これは、ジョン・クローハン医学博士が、コウモリの死体や先史時代の探検家の遺体や材木などが全く腐敗していないのを見て、この洞窟の所有者であるフランクリン・ゴリン氏からこの洞窟を1839年に1万ドルで購入し、1842年にここに結核患者のための療養所を作りました。石製小屋2棟と木製小屋8棟を建て、結核患者はここで数週間を過ごしました。結核患者さんは体調が良くなっている事を御主張されていたものの、料理と暖房のための火からでる煙と、洞窟内の冷たい空気があいまって、5人の患者さんが洞窟内でお亡くなりになってしまいました。ジョン・クローハン医学博士は洞窟内治療の過ちを認め、残りの患者と共に洞窟をあとにしました。ジョン・クローハン医学博士自身もその後、結核感染し1849年に御他界しました。

マンモス・ケーブ・システムは、今から約3億年前の古生代ミシシッピ紀の厚い石灰岩層の中に形成されています。石灰岩層の上には砂岩層が綺麗に水平にかぶさっており洞窟内を強固なものにしています。洞窟内からはアメリカ先住民の遺骨が発見されています。1950年代後半に洞窟探索が行われ、紀元前8世紀(アルカイック期)頃から紀元後1000年(ウッドランド期)くらいまでの人々の生活が明らかになりました。洞窟内には道具などを含めた遺物や美術品や遺骨などが発見され保護されています。

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